司法書士も弁護士も法律の専門家として活躍している資格ということが言えますが、弁護士の方が司法書士よりも早く創設されていて、その後司法書士の資格が創設されています。司法書士の資格が創設された背景としましては、もともと不動産登記や商業登記の申請業務は弁護士が行っていたのですが、そのため、非常に多忙ということになり、本来の弁護士の仕事に専念できないといった要望に対応して創設された資格が司法書士です。したがって、現在は登記業務のスペシャリストということで、司法書士が活躍をしていますが、弁護士においても司法書士と同様に登記業務を行うということは、全く問題ありません。

資格を取得する違い

本来司法書士と弁護士においては、その資格を取得する時点でかなり違いがあります。司法書士は、法務省が実施する司法書士試験を合格し、司法書士会に登録することで司法書士の資格を取得します。司法書士は登記・供託業務を行う資格です。ただし、法務省で一定の研修・考査を受け、法務大臣の認定を受けると簡易訴訟代理等関係業務を行ことができるようになります。現在、司法書士のほとんどは認定を受けています。その認定を受けた司法書士を「認定司法書士」と言います。なお、司法書士は法務省の監督下にあるため、行政の介入される余地があります。

一方弁護士の場合は、弁護士は、裁判官・検察官と同様に、司法試験に合格し、最高裁判所の司法研修所を卒業し、弁護士会に登録することで弁護士の資格を取得します。弁護士・裁判官・検察官は法律を専門職として実務に携わる者の総称で法曹と呼び、司法試験を合格し司法研修所を卒業した者に法曹資格が与えられます。法曹は法律家としての高度かつ広範な知識と技術が資格・教育制度により担保されており、また、弁護士会には強い独立性が確保され、行政からの不当な介入を受けずに権利救済活動ができる配慮がされています。この点、司法書士のように法務省の介入される余地があるのとは、大きな違いということが出来ます。

司法書士の法律業務は制限される

次にもう少し司法書士と弁護士の違いについて、具体的にご説明します。この両者の違いについては端的にいうと、司法書士の場合は、本来登記と供託のスペシャリストですが、それ以外の法律的な行為の場合は限定されます。具体的には少額、簡易、定型的な代理業務に限定されます。一方で弁護士の場合は、法律の専門家ということで権限や業務範囲に制限がありません。

司法書士の行える法律業務は、次のとおりです。

  • 140万円以下の民事事件の相談・交渉・和解をする権限に限定
  • 訴訟を代理できるのは簡易裁判所(訴額140万円以下を管轄)に限定

したがって、これらの要件を超えた業務を司法書士はすることは出来ません。具体的には、

  • 140万円を超える民事事件
  • 控訴審、上告審
  • 破産・民事再生等の申立て
  • 強制執行
  • 家事事件
  • 行政事件
  • 刑事事件

などです。これらの案件に関しては、管轄裁判所がすべて家庭裁判所以上という事もあり、司法書士の場合は簡易裁判所での案件に限定されるため、以上の案件に関しては司法書士は携わることは出来ません。

司法書士の業務が制限される理由

司法書士の業務範囲がこのように限定されているのは、司法書士と言う資格は簡易・定型な事件を超える事件を扱う事が本来求められていないこともあり、それに対応した教育を受けていないためです。その結果複雑な法律事案が絡むような案件に関しては、弁護士の対応ということになります。そのため、司法書士が扱うのに適しているのは、複雑な事実問題や法律問題がない事案、事実問題・法律問題を相手方が争っておらず、地方裁判所への移送や控訴の可能性がない事案など案件となります。以上の点から複雑な事実問題や法律問題が絡んでいるような案件とか、事実問題・法律問題を相手方が争っている案件は、そのような教育を司法書士は受けてないので、対応は出来ません。